台湾最大となるスクーターメーカーKYMCO GROUPが、ミラノ国際モーターサイクルショー「EICMA 2018」で電動のスーパースポーツバイクの発売を発表。
電動バイクは、何となく迫力と排気音の力強さに欠けるのではないか、と思うのですが…
今回の発表されたスーパースポーツバイクのイメージは、従来の電動バイクのイメージを一新するかもしれません。
それでは早速、詳細についてご紹介したいと思います。
キムコの会長アレン・コウ氏がバイク乗りの気持ちを代弁
次世代のバイクが、いまのガソリンではなく電動に移行していくのは、周知の事実。
でもバイク愛好家の間では、面白みに欠けることが想定され、レストアブームが到来するのではないかとの話になることもあります。
もともと職人気質の日本人にとって、モノを大切にする習慣は世代を問わずあるのではないでしょうか。
サビがひどく走行不能な状態のバイクでも、パーツを組み替え手入れをしてパーツを磨き、ひと手間もふた手間もかけると、再び以前の走りができるように蘇るバイクもあります。
ここに楽しさや生きがいを感じている、バイク愛好家が存在しているのです。
そして、見た目と排気音、創り上げて走らせるという楽しさが集結するのがレストアの世界観かもしれません。
それに比べて電動となると、いままでのパーツはことなり、知識や技術も全く別物となります。
キムコ会長アレン・コウ氏が伝えたいこと
「パーソナル輸送手段の次の時代の主役が電動であることは皆さんご周知のとおりです。
しかし、スーパースポーツバイクの世界における電動化については、まだ多くの方々が躊躇しています。
まず、電動モーターが静かで馴染みのある轟音が出ないことに、スポーツバイク愛好家は物足りなさを感じます。
簡単なツイスト・アンド・ゴー式の操作はより実用的ですが、おもちゃのように感じてしまい、ギアシフトのような満足感は得られません。
また、現在のほとんどの電動バイクでは、最初のラッシュ後、トップスピードに加速するときの持続的なスリルもありません。
その結果、多くのスポーツバイク愛好家は、新しい電動化時代の到来がスーパースポーツの魅力を損なうのではないかと危惧しているのです。」
と述べています。
このキムコ会長であるアレン・コウ氏が述べている現状は、まさにバイク乗りが感じていることではないでしょうか。
電動バイクに変化していくのは仕方のないことですが、何となく寂しさを感じますね。
キムコが提案するスーパースポーツライダーの夢とは
次世代のバイクを創造するべく、キムコが発表したスーパースポーツバイク。
いままでの電動バイクと、どこが進化しているのでしょうか。
キムコは、ライダーが求めていることを5つのアプローチで提案しています。
- ギアシフトは、バイクに乗る技巧の真髄である
- 最高の加速は、思考の完成のように感じられる
- 自信を持って限界を探ることから興奮が感じられる
- 音はマシンの声である
- 優れた乗り物は、あらゆるシーンでライダーを盛り上げる
今回発表された「SuperNEX(スーパーネックス)」は、ギアシフトチェンジのテクニックをライダーが駆使できるように、最新の6速トランスミッションを搭載。
クラッチレスで、シフトアップとシフトダウンできる機能を装備しています。
ツーリングのときにあると便利な、クラッチレス。
渋滞のときの走行では、ライダーの負担を軽減してくれますね。
スリッパ―・クラッチによって、通常のシフトダウン時における乗り心地がさらに改善されています。
ライダーにとってマシンの特性を理解し、ギアシフトのタイミングをつかむことで、自分のスキル向上や走る楽しさを追及するのです。
キムコは、このライダーにとっての自己実現の追及をギアシフトに焦点をあてることで、電動モーターとスポーツトランスミッションの融合を図っています。
ライダー目線で考えてくれている、そんなバイクが今回の「SuperNEX(スーパーネックス)」なのかもしれません。
「SuperNEX(スーパーネックス)」の気になる加速
「SuperNEX(スーパーネックス)」は、従来の電動バイクの加速力の問題を解決。
電動バイクは、ミッドレンジで最大馬力に達したあと、出力カーブが減少するという特性があります。
そのため、単一のギアである電動バイクの場合、所定の速度に達することで加速が顕著に落ちるという結果に。
そしてこの速度低下は、高速道路での走行でかなり感じる度合いが大きいのです。
ツーリングで高速道路を少なからず走行するため、この速度低下は致命的な要因。街乗りだけなら、解決される問題なのかもしれません…
そうなると、バイク好きなライダーにとって電動バイクの魅力が半減する結果となってしまいますね。
「SuperNEX(スーパーネックス)」は、モーターのパワーバンドを有効に使用し、ギアの効率化と応答性を実現。
これによって、加速と最高速度の問題を解決しているのです。
「SuperNEX(スーパーネックス)」の実力はいかに
- 時速0キロから100キロまで2.9秒
- 時速0キロから200キロまで7.5秒
- 時速0キロから250キロまで10.9秒
この加速は、現行の大型バイクと同レベルといっても良いのではないでしょうか。ちなみに、CB1300では時速0キロから100キロまでに約2.7秒。
まさに進化した、電動バイク「SuperNEX(スーパーネックス)」が発売されるのです。
バイクだけでなく、ライダーも進化する
キムコは、ライダーがバイクの能力をすべて活用できるように、先進パフォーマンス制御システムとして、キムコFEP (KYMCO FEP: KYMCOフル・エンゲージメント・パフォーマンス)を開発。
バイクが電子制御になり機能が充実している反面、この機能をすべて使いこなしているかと言われたら…使いこなせていないのが現状なのです。
ここに、キムコが着目。
FEPがバイクをもっと扱いやすくする
FEPを使用することで、加速中のウィリーやホイールのスリップを防止し、ハードなブレーキの後輪の持ち上がりを制御してくれます。
さらに荒れた路面や雨天時などの湿った路面での走行で、FEPが最大のけん引力を発揮。
そしてFEPエンゲージメントのレベルは、ライダーの好みに合わせて調整することが可能です。
これによって、キムコはスーパースポーツのバイクで体感できるスリルと走る楽しさを、もっと多くのライダーへ広めていきたいと考えています。
どんな路面状況でも安全に走行できる!
FTPの機能で実現できるなら、ライダーの走る楽しさをもっと追及できるかもしれないですね。
やっぱりこの音がないと!バイクの楽しさが半減するのです
バイク乗りにとって、排気音もひとつのこだわりポイント。
車種はことなっても、どこのメーカーのマフラーを使用しているのか、気になるのです。
そしてエンジンによっても、この魅力的な排気音がことなります。
ツーリングに行って、他のライダーのバイクが気になって仕方がないのは、どんなパーツを使用してオリジナル性を創り出しているのか、に興味関心が強いからなのです。
バイクの排気音を、電動バイクでも体感できるようになるかも
キムコでは、従来の電動バイクの静けさについても課題としてとらえ、SuperNEXに世界初のアクティブ・アコースティック・モーターを搭載しています。
このモーターによって、ダイナミックなモーター・サウンドを再現し、マルチ周波数音響発生器によって音の個性や音量をライダーの好みに合わせて調整することが可能。
アナログとデジタルの違いで、迫力には欠けるかもしれませんが、現状の改善点として着目し、バイク乗りのニーズに対応している部分では、かなり評価できるのではないでしょうか。
音は、トーンや高さ、強さ、テクスチャー、デリバリーなど個性を象徴するもの。デジタルの世界で、このライダーの求める音が実現されているのか、いちどこの音を聞いてみたくなりますね。
この音に対するライダーの愛着に一定の支持が得られれば、電動バイクも普及していくと個人的には思います。
さらに自分仕様に適応させることができる
現状のスーパースポーツバイクでは、ライダーは一部の電子制御の設定のみ操作が可能。
しかしSuperNEXでは、ライダーの気分や生活に合わせて、マシンのパーソナリティの部分を4つのモードで切り替えることができます。
これは、楽しみが広がりますね。
- 「ポイズド (Poised)」→ゆっくり近くを走行したいとき、静けさを強調する走行モード。
- 「アサーティブ (Assertive)」→パワーと静けさの完璧なバランスを保ち走行するモード。
- 「ボールド (Bold)」→一定のパワーで走行したいときに活躍するモード。
- 「エクストリーム (Extreme)」→高速走行で、加速重心のモード。
SuperNEXが目指しているのは、スーパースポーツバイクのモードを調整し、バイクの本来の実力とライダーの好みに合わせて自由さと自分らしさを追求すること。
電動バイクの次なる可能性について、新しい価値を提案してくれたSuperNEXなのです。
最新の電動バイクの情報をお届けしましたが、いかがでしたか。
何となく、現状のバイクから変わっていく姿をみるのは、寂しい気もしますが…
これからも次世代のバイクが進化していく過程を見守りつつ、バイクライフを楽しみたい!と思います。
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